「空中店舗」での集客を考える

「空中店舗」は「路面店舗」よりもなぜ不利なのか
空中店舗と路面店舗で最も差が現れる部分は、店舗自体が持つ集客力です。路面店舗は道路通行中の人の目線でごく自然に認知されます。ガラス張りならば店内の様子を見て入店を判断できますし、店頭ディスプレイによって興味を引くことで、直接集客力を高める効果につながります。
一方、空中店舗は通行人の自然な目線の中にはないので、まず店舗の存在が認知される手だてを施す必要があります。その点で、集客上はかなり不利と言えます。ビルの側面に備え付けられた看板だけでは集客施策としては不十分ですので、路面店に比べると集客のための広告宣伝にかかる負担が大きくなります。
しかし、店舗選びの段階からこの不利な点を理解した上で、さらに顧客を誘引する工夫をすれば、空中店舗でも集客力を高めることが可能です。
空中店舗の選び方と集客の工夫
空中店舗の弱点をカバーするための、条件の良い店舗選びと、顧客誘引のための工夫として、以下の内容が挙げられます。
【わかりやすく入りやすいビル】
空中店舗のマイナス要素として、まず建物に立ち入らなければ入店できないという点があります。例えば、繁華街などで同じようなビルが乱立していて、現地を特定しにくいとか、あるいはビルの入り口がわかりにくければ、そもそも店舗にたどり着くことが難しくなります。
また、せっかくビルに到着したとしても、他のテナントが空室だらけだとか、エントランス、エレベーター、通路などの共用部分の清掃・管理が行き届いていないと感じてしまうならば、目的としていた店舗に魅力を感じていたとしても、客足が遠のいてしまうことが考えられます。飲食店や女性をターゲットにする店舗なら、なおさら顕著でしょう。
そのため、空中店舗を選ぶ際には自分の店舗について考えるだけでなく、建物そのものに人が入りやすい物件を選ぶ必要があります。中には、エレベーターがないために入店を取りやめる人もいます。ビル内の昇降についても確認が必要です。
【注目を集める工夫】
ビルの入り口付近に人目につく看板やフライヤーを設置すれば、通行客の注意を引くことができます。空中店舗選びの際には、他のテナントがビルの入り口などで、どんな方法で顧客を呼び込んでいるかに注目するとよいでしょう。場合によっては、ビルオーナーの意向や近隣との取り決めで、自由に看板などを使用できないことがあるため、事前に確認してみてください。
【見られたときの印象を高める】
空中店舗であっても2階から3階くらいであれば、道路から少し見上げてもらえば、窓を通して店内の様子を感じ取れる場合があります。例えば飲食店ならば、窓際席を作り照明を工夫することで、外から雰囲気のよい店だと感じてもらうことや、窓の景色を見ながらゆっくり過ごせそうだと期待感を持ってもらうことができます。
【Webの活用】
オリジナルWeb サイトやSNS、口コミサイトなどを利用した集客活動は、空中店舗の運営において必須です。Web を活用したダイレクトな集客効果は、路面店舗と空中店舗で基本的に差異はないので、店舗そのものの魅力を伝えられるようなページ作りを行いましょう。
特に進化が著しいWebの世界では、複雑なプログラミングができずとも自分でWebサイトを作れるCMS(Contents Management System)ツールなどもあり、ドメイン・サーバー利用料などを含めたとしても、安価にWebサイトを運営することができます。
TwitterやInstagramといったSNSで広報活動を行い、ユーザーの興味を引くとともに周囲に宣伝(拡散)したくなるようなメニューやイベント、特典を考えるということも検討できるでしょう。ただし、Webでの情報発信は、定期的かつ頻度の高い更新を心がけなければ、逆効果となってしまう恐れがあることも認識しておきましょう。
空中店舗ならではのメリット
空中店舗ならではのメリットももちろんあります。主なものを以下にまとめます。
【賃料の安さ】
同じビルでも1階の路面店舗に比べ、空中店舗では賃料設定がかなり低いことがあります。賃料は経費の大きな割合を占めますから、それを圧縮できれば、浮いた分でメニューやサービスの充実を図るとか、販売価格を下げて競合する路面店舗に対して競争力を高めることもできます。また、広告宣伝費の増額も考えられるでしょう。
【眺望の良さ】
空中店舗は、窓からの眺望に魅力が出る場合が多々あります。高層階にある飲食店やバーなら、窓から見える夜景などを楽しみに来る人も多いので、眺望が最大の訴求ポイントになります。
【喧騒から切り離された居心地の良さ】
路面店舗は、人の往来がある多い分、その喧騒からは離れられないとも言えます。しかし、上層階に行くほど地上の音は届きにくくなりますから、空中店舗なら、落ち着いた隠れ家的空間を演出するということも可能になります。
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